赤い月

「やだなー。
隠さなくてイイのに。
俺のコト、そんなに心配してくれちゃって…
愛を感じたわー。」


景時はゆっくり立ち上がり、そっと両手で薫の手を握った。
微笑んだ顔が、男のクセにやけに色っぽい。


「ごめんな?
俺はノーマルで、薫の気持ちには応えらンねぇケド、ずっと親友さ☆」


「~~~~!!!!
死ね! 喰われて死ね!
いっそ俺が殺ってやるぅぅ!!」


頭から湯気を出しながら、握られた手を振り払おうと暴れる薫。

ニヤニヤヘラヘラ笑ったまま、決して手を離さない景時。


ガチャ


「…ナニヤッテンノ?」


屋上の扉を開けたまま、三人の人影が固まった。

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