赤い月
このまま遠慮なく直進されると、辿り着くのは繁華街。
平日の午前二時とはいえ、酔っぱらいやヤンキーどもはフラフラしているだろう。
このスピードでは、結界を張り直している暇はなさそうだ。
「てなワケで、そっちは進入禁止デース。」
景時はジーンズのポケットから少しシワができた形代を取り出した。
人差し指と中指の間に挟んだそれに軽く息を吹きかけ、オニの前方に飛ばす。
同時に手の中のバジュラに念を込めた。
形代が目の前でもう一人の景時に変わり、驚愕したオニが足を止める。
「縛鎖!」
胸の前に突き出したバジュラから雷が吹き出し、混乱するオニに鎖のように巻きついた。