赤い月

「ほう…
加護がついておる。」


不意に消えた不快な手にほっとして薄く目を開けた途端、髪を掴まれ顔を上げられた。
霞んでいた視界にやけに鮮明に映る、美しい人。

景時は意図せず微笑んだ。


「そなた…景時。」


彼女は少なからず驚いているようだった。
ルビーの瞳を見開き、しばらく景時を見つめていた。


(見つめあっちゃってるよ、コレ。)


逢えたし。
なにゲに近いし。
また名前呼ばれちゃったし。
てか、覚えててくれたし!

神様仏様、ありがとう☆
この体勢は…まぁなんか情けなくて納得いかないケド。

我が人生に悔いナシ…

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