赤い月
景時の胸は、無性に痛んだ。
「…泣いてもいいよ…?」
思わず口をついて出た景時の言葉に、彼女は微かに身を強張らせた。
何が彼女を悲しませているのか。
俺の向こうに誰を見ているのか。
そんなコトはどーでもいい。
…いやいや、ほんとは知りたいけども。
ほんとはスッゲぇ気になるけども!
彼女がこんな顔しなくてすむのなら、この際どーでもいいコトだ!
景時は手を伸ばし、彼女の滑らかな頬にそっと触れた。
「俺が傍にいるから。」