赤い月
「ゴラァァァ!!
景時放しやがれぇぇぇ!!」
「やめろ、薫!!」
「あの者は?」
薫の突然の攻撃にも驚く景時にも動じることがない、どこまでも冷たい彼女の声。
彼女に刃を向けてしまった…
景時は青ざめた。
あの夜のオニの姿が脳裏に蘇る。
心臓を抉られ、青い炎に包まれ、跡形もなく消えたオニ。
まさか薫も…
「友達なんだ!
だからっ
頼むから…」
「…
良い友がおるのじゃな。」
景時の悲痛な叫びは、微かな笑みを含んだ小さな呟きに遮られた。