赤い月
秋時はまだ少し青ざめた顔を薫に向け、それでも安心させるように微笑んだ。
「薫、景時を本堂に。
倒れている奴らの介抱も頼めるか?」
「話は終わってない。
薫、景時は置いてゆけ。
後の者は片付けろ。」
「っ! ハイっ!」
小学生のようなイイお返事。
決して大きくはないが威厳ある凛とした声に、薫はすぐさま従った。
鬼神様の指示通り残された景時は、少し納得いかない表情をした秋時に、ニヤニヤ笑いかけた。