赤い月

「待てって!
行くな… ぅおっ?!」


動かない足で無理に距離を縮めようとして、ガクンと膝をついてしまう。


「景時っ」


「あ… 悪ィ。」


駆け寄った秋時の肩を借りて立ち上がると、彼女は歩みを止め、こちらを見ていた。


「何故、そのような身体で無理をする?」


(おっと?
飛びますオーラが消えてない?)


いつの間にか引き留め作戦大成功?

小さくガッツポーズをする景時に、彼女は困惑の面持ちで問うた。


「そなた…
妾を捜していたと言うておったな?
何用じゃ。
何故、妾に執着する?」


「なんでってそりゃ…
君が好きだから。」

< 96 / 170 >

この作品をシェア

pagetop