プカプカしてきます
叫び声をあげながら、ひとりの男子が救急救命士を押し分け、横たわる私に駆け寄ってきた。よく見たら、私の彼氏じゃないか!

「君は!何をするんだ!」

「うるさい!黙ってろ!」

名前は…えーっと?彼氏の名前は…アレ?いくら私の頭が残念だからって彼氏の名ぐらい…アレレ?

「俺だ!相崎だよ!聞こえるか」

そうだよ!相崎君だよ!危ない危ない!今のド忘れは事故の後遺症的なもんだからセーフだよね。

「こんな姿になって俺は…俺は」

『こんな姿になって』って!胸まる出しのことを言ってるのか!そうなのか!そうなんだろう!それに『俺は…』の後に何が言いたかった?どんな感情を抱いたんだ?私の生胸を初めて見て嬉しかったのか!

まったく…。

胸好きだったもんな相崎君は。もう私が好きなのか、胸が好きなのか、まったくもって分かんないぐらい胸が好きだったもんな…。

デート始まって3分後には『揉んでいいか?』とか聞いてきたし

それでも…。

こんなことになるぐらいなら、自信がなくても相崎君に胸を触らせてあげればよかったな。
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