秘密な関係
「歯形…」

思わず声に出して言ってしまった

「あっ、忘れてた。恥ずかしいですよね?これ、買うので見なかった事にしてください」

って爽やかに笑いながら言った

「あ、はい、かしこまりました」

そのままつけて帰るというので、ベルト調整をして会計を済ませると男性客は帰った

間違いない

絶対、噛みついている場所といい

あのキュッと締まった手首といい

あの歯形は荒川が着けたものだ

しかも何度も何度も噛んだ後が着いていた

そっか…荒川に男が出来たんだな

いかにも荒川にお似合いの爽やかで優しそうな男だった

俺の手首はお役ゴメンっワケか…

途端に俺の胸が苦しくなった

やり場のない思いをどうしていいのか解らなかった

これが失恋ってやつなのか?
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