恋人達の時間
randed-vows ~you & me~
今日に限ってどうしてこんなに
時計の進みが遅く感じるんだろう。
早く来い来い退社時間。
だって今日は……
randed-vows
「会わないか」と彼から電話がかかってきたのは水曜のお昼休み。
大手メーカーのビジネスマンでMBAの資格を持ち多忙を極める彼は海外への長期出張も多く
土日のお休みもままならない。
そんな彼と平日に会える事なんて滅多にない。
「午後からの予定が無くなって そのまま休める事になった」
「信じられない!」と応えれば
「俺もだ」と苦笑混じりの声。
「終わる時間は?」と聞かれて私は定時より30分後の時間を告げた。
「分かった。迎えに行く」と言われて「ちょっと待って」と慌てて答えた私に返ってきたのは短く繰り返される電子音。
人の話は最後まで聞くものよ、と呟いて電源をオフにした。
まあいいっか、と小さく肩を竦めた私は飲みかけの珈琲を一気に飲み干した。