蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「おかゆ作ったけど・・・食べれそう?」
「ん・・・」
慧はぼんやりとした目で絢乃を見る。
その端正な白皙の頬は赤く、熱があるのは明らかだ。
けれど薬を飲む前に、少しでも何か食べた方がいいだろう。
絢乃がそう言うと、慧はゆっくりと頷いた。
「・・・さ、体起こして、慧兄?」
絢乃は慧の肩の後ろに片手を差し入れ、背に手を回した。
・・・瞬間、慧の体がビクッと強ばる。
ん? と思った絢乃だったが、そのまま手に力を込めて慧の上半身を起こした。
その弾みで慧の体に掛かっていた布団がぱさりと捲れ落ちる。
絢乃は思わずドキッとし、慌てて視線を逸らした。
慧の髪は寝汗で乱れ、はだけた胸元と言い、うっすら赤らんだ肌と言い、はっきり言ってとても正視できる状態ではない。
絢乃は慧から視線を逸らしたまま、ベッドのヘッドボードと慧の背の間に、近くにあったクッションを二つほど差し入れた。
慧が身を起こしたところで、おかゆの椀とスプーンを取る。
おかゆはまだ出来立てで、かなり熱そうだ。
絢乃はスプーンでおかゆをすくい、ふーっと吹いた。
そのままスプーンを慧の口元に運ぶ。
特に何も考えず、無意識のうちにそうしたのだが、それを見た慧は驚いたように絢乃を見た。