蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「・・・まだだよ、まだ朝じゃないよ」
「・・・慧兄・・・」
「朝が来るまでは、お前はおれのものだよ」
甘く、掠れた声。
・・・首筋に押し付けられる、熱い唇。
その熱と、腰に回った腕の強さで、これが夢ではないとわかる。
絢乃は朦朧としたまま、慧の胸に身を預けていた。
───絢乃の心も体も、限界を通り越していた。
そんな絢乃を慧は後ろから強く抱き寄せ、耳元に優しい口づけを落とす。
慧は長い睫毛を伏せ、熱情で掠れた声で囁いた。
「・・・朝なんて、来なければいいのに」
「・・・っ・・・」
「ね、アヤ。・・・前に言った、白夜と極夜のこと、覚えてる?」
慧の言葉を、絢乃は茫洋とした表情で聞いていた。
・・・聞いた覚えはあるのだが、今は何も、考えられない・・・
慧は絢乃の肩に後ろから額を押し付け、呻くように言う。