蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「朝が来ない国に・・・、極夜の国に連れていけば、お前をずっとおれのものにできるのかな・・・」
「・・・慧・・兄・・・」
「もしくはこの部屋の窓を全て閉ざして、朝が来ないようにすれば・・・お前は永遠に、おれの恋人でいてくれるのかな・・・」
慧の言葉が、絢乃の胸を切なく震わせる。
・・・心の底から絢乃を求める、慧の心。
───けれど・・・
慧はそうしないだろう。
慧は絢乃のために、明日になれば兄に戻ろうとするだろう。
慧の性格は、ずっと昔から一番傍にいた絢乃自身が、一番良く分かっている。
・・・そこまでわかっているのに・・・
どうして、自分は・・・
絢乃は唇を噛みしめ、俯いた。
自分で自分の心がわからない。
───どうすればいいのか、わからない。