蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
絢乃はすんと鼻を鳴らし、コーヒーを一口飲んだ。
慧はもう、ただの『兄』ではない。
あの夜が、二人の関係を変えてしまった。
たとえ慧が兄として接してきても、自分はもう、知ってしまっている。
───慧の気持ちを、想いを。
絢乃は目を伏せ、息をついた。
・・・慧が大事だ、という気持ちに変わりはない。
これから、二人の関係がどうなるのかはわからない。
けれどきっと、慧が大切だという気持ちはずっと変わらないだろう。
もし、慧の気持ちを知った今の状態で、慧が同じことを言ってきても・・・
多分自分は、同じようにするだろう。
慧が戻ってくるなら、自分の何を犠牲にしても構わない。