蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




絢乃はすんと鼻を鳴らし、コーヒーを一口飲んだ。

慧はもう、ただの『兄』ではない。

あの夜が、二人の関係を変えてしまった。

たとえ慧が兄として接してきても、自分はもう、知ってしまっている。

───慧の気持ちを、想いを。


絢乃は目を伏せ、息をついた。

・・・慧が大事だ、という気持ちに変わりはない。

これから、二人の関係がどうなるのかはわからない。

けれどきっと、慧が大切だという気持ちはずっと変わらないだろう。

もし、慧の気持ちを知った今の状態で、慧が同じことを言ってきても・・・

多分自分は、同じようにするだろう。

慧が戻ってくるなら、自分の何を犠牲にしても構わない。



< 109 / 200 >

この作品をシェア

pagetop