蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「・・・え、食べさせてくれるの?」
慧は目前に差し出されたスプーンをじっと凝視している。
絢乃は首を傾げ、言った。
「ほら、早く口開けて? 落ちちゃうから」
「・・・」
慧はなぜかこくりと息を飲んだ後、ゆっくりと口を開けた。
・・・いつ見ても完璧な形の唇。
絢乃は慧の口の中にスプーンを差し入れた。
慧の口が閉じたのを確認し、スプーンを引く。
・・・なんだか自分が親鳥にでもなったみたいだ。
と絢乃は思いながら慧におかゆを食べさせていたが、何回か繰り返したところで、慧に突然手を掴まれ、はっと顔を上げた。
「ありがと。・・・もういいよ、アヤ」
慧は少し目を細め、絢乃を見る。
・・・熱っぽく潤んだその瞳。
絢乃はその目を見、なぜかドキッとし息を飲んだ。