蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
そう思う、この気持ちは・・・
ただの兄に向けるものではないと、絢乃自身も気付いている。
けれど、この気持ちは恋でも愛でも、ましてや家族愛でもなく───
───慧が大切だという、純粋な気持ち。
他の誰でもなく、慧に傍にいて欲しい。
・・・ただ、それだけだ。
この気持ちを何と呼べばいいのか、絢乃にはわからない。
恐らくこれは、慧が求めている気持ちとは違うだろう。
けれど、慧が大事だという気持ちに偽りはない。
絢乃は何かを決心するように、ぐっと手を拳に握りしめた。
そして、ゆっくりと立ち上がり、カフェを後にした・・・。