蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




男が女に服を贈るというのは、特別な意味を持つ。

卓海が服を贈ったということは、二人は既にそういう関係になっているのだろう。

慧は絢乃の格好から、二人の関係を察した。

・・・その瞬間。

堪えきれない怒りと嫉妬が、慧の胸を一気に焼き尽くした。

怒りのままに、絢乃の手を奪い取り、部屋に連れ込み・・・


「・・・っ・・・」


その後のことは・・・

慧自身も、細かい部分は覚えていない。

ただ、絢乃のあの言葉だけが、慧の胸を鋭く抉った。


『・・・慧兄が、それで戻ってくれるなら・・・』


絢乃は自分の身を差し出してでも、自分に兄でいてほしいと思っている。

・・・そのためなら何を犠牲にしても構わないと思うほどに。


< 117 / 200 >

この作品をシェア

pagetop