蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
男が女に服を贈るというのは、特別な意味を持つ。
卓海が服を贈ったということは、二人は既にそういう関係になっているのだろう。
慧は絢乃の格好から、二人の関係を察した。
・・・その瞬間。
堪えきれない怒りと嫉妬が、慧の胸を一気に焼き尽くした。
怒りのままに、絢乃の手を奪い取り、部屋に連れ込み・・・
「・・・っ・・・」
その後のことは・・・
慧自身も、細かい部分は覚えていない。
ただ、絢乃のあの言葉だけが、慧の胸を鋭く抉った。
『・・・慧兄が、それで戻ってくれるなら・・・』
絢乃は自分の身を差し出してでも、自分に兄でいてほしいと思っている。
・・・そのためなら何を犠牲にしても構わないと思うほどに。