蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
絢乃の口から嗚咽が漏れ、睫毛に涙が滲む。
・・・ぽろり、と目尻から涙が零れ落ちる。
それを見た慧の顔から、笑顔が消えた。
絢乃は涙で濡れた目で慧を見上げた。
「・・・もう、無理だよ、慧兄・・・」
絢乃の言葉に、慧は一瞬息を飲んだ。
しばしの沈黙の後、その綺麗な形の唇をゆっくりと開く。
「───突然どうしたの、アヤ?」
慧は眉を顰め、じっと絢乃を見下ろす。
・・・その、心配そうな瞳。
絢乃は軽く首を振り、口を開いた。
「・・・もうこれ以上、知らない振りをして慧兄の気持ちに甘えるわけにはいかないよ。だって・・・もう・・・」
「・・・アヤ・・・」