蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
そんな絢乃の戸惑いを、慧は察していたらしい。
慧は少し笑って言った。
「お前はそんなこと気にする必要はないよ。・・・おれはとっくの昔に覚悟してる。不幸になってもいい、おれはお前の傍にいたい」
「・・・っ!」
慧の言葉に、絢乃は目を見開いた。
───『不幸になってもいい』。
きっと慧はずっと、不幸になるかもしれないと思いながらも、それでも自分の傍に居てくれようとしたのだろう。
多分絢乃が思っているより、ずっと昔から・・・。
───その想いの深さに、強い愛情に、心が震える。
涙がとめどなく溢れ出る。
胸の痛みはどんどん広がり、強く激しくなっていく。
・・・もう、どうすればいいのかわからない・・・。
自分は・・・自分は・・・。