蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
慧の囁きとともに。
絢乃はぐいと腕を引かれ、物凄い力で抱きしめられた。
・・・もう絶対に離さない、というように。
絢乃の目から、涙がぽろぽろと頬を伝って流れ落ちる。
胸の底から、熱い何かが込み上げてくる。
───きっと、自分は・・・
心のどこかで、慧にはっきり言ってほしかったのかもしれない・・・
強引に、こうしてほしかったのかもしれない・・・。
慧は絢乃の髪に頬を埋め、熱情で掠れた声で囁いた。
「・・・お前が兄としてのおれを望むなら、一生兄でいても良かった。でも迷うなら、泣くなら、・・・おれはお前を逃がさない」
「・・・慧兄・・・っ」
「悪いけど、もうおれ、遠慮しないから。・・・本気でいかせてもらうよ?」
慧は絢乃の頬を両手で包み、至近距離でじっと絢乃を見つめる。
・・・絢乃の全てを奪おうとするような、熱情を帯びた、強引な眼差し。
大人の男の本気が揺らめく、その瞳。