蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
その情熱に、想いに、心が熱くなる。
目尻から、とめどなく涙が零れる。
慧は目尻に溜まった涙を指先で掬い取り、その美しい二重の目を細めた。
「・・・これまでのおれなら、ここで止めただろうね。でも・・・」
慧の瞳がじっと絢乃を見る。
・・・射るような瞳。
「離さないよ。涙なんて枯れ尽くすくらい泣かせてあげるよ。おれの腕の中でね?」
言葉とともに、慧の唇が再び絢乃の唇に触れた。
・・・熱く、しっとりした唇。
慧の唇が強引に絢乃の唇を割り、熱情を押し付けるように何度も重なる。
・・・この強引さが、なぜか涙が出るほどに嬉しい。
いつも絢乃のことだけを考え、絢乃のためにいろいろなものを犠牲にしてきた慧。
その慧が、強く望んでいること───
それを叶えられるのは、与えられるのは、自分しかいないのだ。
───何よりも、慧が大切だから・・・
慧の望みに、応えたい。
絢乃の膝裏に慧の腕が回り、そっと抱き上げられる。
絢乃は慧の首に縋りつき、その首筋に涙に濡れた頬を押し付けた。