蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
2.本気の意味
甘く柔らかなウッドノートの香りが、絢乃の全身を包み込む。
───慧の香り。
長年使っていたシャンプーの香りは、いつのまにか慧の体に浸み込み、慧の香りとなった。
心安らぐ、絢乃の好きな香り。
横たえられた絢乃の首の後ろに、慧の腕が回る。
慧はそのまま絢乃を抱き寄せ、唇を重ねた。
「・・・ん・・・ぁあ・・・」
───この間は、夢うつつだったのでわからなかった。
けれど今、慧と肌を重ねると・・・
まるで、自分の肌と慧の肌が吸い付き、溶けていくような気がする。
そう、まるで、もともと一つのものだったように・・・。
祐司の時はあれだけ恐怖感と違和感を感じたのに、慧は全く怖くない。
それは肌に触れる慧の手に、指に、絢乃への愛情が満ちているせいかもしれない。
「・・・お前の肌に一度触れると、ずっと触れていたくなる。なんでだろうね・・・」
慧は絢乃の胸元のボタンを外し、鎖骨の上にそっと指を走らせた。
そのまま絢乃の頬に愛しげに口づけ、鎖骨に唇を寄せる。
・・・慧も、同じように思っているのかもしれない。
首や鎖骨に次々と、赤い花が咲いていく。
いつのまにか胸元は全て開かれ、慧の手が、唇が、優しく肌を愛撫していく。