蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「この間も思ったけど。・・・本当に綺麗だ」
「慧に・・・ぁん・・・っ」
「お前の肌も、声も・・・知る前ならまだ耐えられたけど、一度知ってしまったらダメだね。・・・止められなくなる」
慧はぐいと絢乃の顎を掴み、その桜花のような唇に口づけた。
舌先が絡まりあい、濡れた水音を立てる。
・・・慧のキスを受けていると、頭が溶けそうになる・・・
慧は口づけながら、熱い声で囁いた。
「・・・好きだよ、アヤ。お前以外、おれには見えない。心から愛してる」
「慧兄・・・っ」
絢乃は慧の言葉に、胸の奥に温かいものが広がるのを感じた。
けれどそれと同時に、切なく苦いものが広がる。
───慧が向けてくれる気持ちと、自分が慧に向けている気持ちは、多分同じではない。
慧が大事だという気持ちに変わりはないが・・・。
絢乃の戸惑いが伝わったのだろう、慧は少し笑って言った。
「・・・いいよ。同情でも、後ろめたさでも。お前がおれのことを思ってくれるなら、その感情が何であっても構わない」
「でもっ・・・」
「それに、少なくともお前の体はおれを受け入れてくれた。だからおれに全く気持ちがないってわけじゃない。だろ?」