蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
慧は肌への愛撫を続けながら、片手でぐいっと絢乃の腰を抱き寄せた。
絢乃の顔を覗き込み、真剣な目でじっと見つめる。
「・・・卓海とは別れてもらうよ?」
───その、真剣で鋭い瞳。
逆らうことは許さない、と言外に伝えるその視線。
絢乃は驚き、目を見開いた。
「えっ? ・・・加納さんとは、付き合ってないけど・・・?」
「じゃあ何であの日、二人でホテルに来たの?」
「それは・・・」
絢乃は口を濁そうとした。
が、慧の目がじっと絢乃を真っ直ぐに見据える。
・・・これは、絶対に逃げられない。
絢乃は観念し、口を開いた。
慧に会うためディナーショーに行く予定だったことや、卓海とはそもそも『ひとつ言うことを聞く』で期限付きの付き合いだったことを慧に一通り説明した。
慧は絢乃の話を驚いたように聞いていたが、説明の後、その唇を歪ませて笑った。
「・・・なるほどね。あいつもいろいろ考えたもんだ。ダテに女遍歴長くないね」
「・・・あの、慧兄?」
「まぁでも、もう関係ないよ。例え誰のものであっても、お前を奪い取るから。お前はもう誰にも渡さない。・・・だからアヤ、覚悟して?」