蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
3.ギャップ
───年末。
仕事納めの日。
絢乃は紙袋を片手に、会社からの帰り道を歩いていた。
紙袋の中には、会社の取引先から貰ったカレンダーがいくつか入っている。
年末になると、各取引先の担当者が年末の挨拶に来るのだが、その際に来年のカレンダーや手帳などを渡される。
会社で使うもの以外は、基本的に各自で持ち帰って良いことになっているため、絢乃もそのうちのいくつかを見繕って持って帰ることにした。
「・・・年末、かー・・・」
絢乃はふと足を止め、駅前の街路樹を見た。
既にクリスマスの飾りは外されているが、新年のお祝い用にそのまま使うのだろうか、電飾があちこちに残っている。
───クリスマス。
絢乃はあの夜のことを思い出し、頬を赤く染めた。
あれから、一週間。
まさか、慧とこういう関係になるとは思ってもみなかった。