蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
慧にしてみれば、絢乃を罠に嵌めることなどわけないだろう。
絢乃は知らないうちに慧の罠に嵌まり───そして後になって、『あれって・・・?』と思い出すのだろう。
───そう、今回のように。
・・・やはり、危険だ。
けれどどうあがいても、慧には勝てない。
・・・別に勝ちたいわけでもないが。
今の絢乃には、慧と離れることなど、もう考えられない。
───これまで、絢乃のためにいろいろ尽くしてきてくれた慧。
慧の望みを、叶えたい。
これが恋愛かというと少し違う気もする。
けれどもう、迷いはない。
絢乃は街の様子を眺めながら、再び歩き出した。