蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




慧はにこにこ笑いながら言う。

・・・嫉妬しただけでここまで喜ばれるとは・・・

慧が喜んでいるなら絢乃も嬉しいが、なんだかとても複雑な気分だ。

慧はしばし笑った後、ゆっくりと口を開いた。


「彼女とは、大学の時に1年半くらい付き合ったかな。今も向こうから年に数回、お茶や食事の誘いがあるけど、別れてからはそういう関係になったことはないよ」

「・・・でも、この間、あのホテルで・・・」

「彼女がおれの部屋まで来たのは、おれも知らなかった。フロントで『彼女からの預かり物です』って渡された袋の中身が、どう見てもお前が用意したものだったから、かなり驚いたよ」


・・・つまり。

彼女は慧と約束して、あのホテルに行ったわけではないらしい。

絢乃はほっと肩を下ろした。

そんな絢乃を、慧が横からぎゅっと抱きしめる。


「・・・っ、慧兄っ!?」

「あー、可愛いな~。お前が嫉妬してくれるなんて、夢みたいだ」


慧はにこにこ笑いながら、さらに腕に力を込める。

ぐっと首元を締められ、絢乃はぺしぺしと慧の腕を叩いた。



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