蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「ちょっとっ! 苦しいよっ」
「あ、ごめん」
慧はすっと腕の力を抜いた。
けれど腕は絢乃を抱きしめたままだ。
ん? と思う絢乃の耳元に、慧はそっと囁いた。
「・・・ね、アヤ。一緒に入らない?」
その、色を帯びた声音。
絢乃は眉を顰めた。
「入るって、どこに?」
「お風呂」
「・・・・っ!!」
絢乃はカッと頬を赤く染めた。
思わずじり、と後ずさろうとした絢乃の腰に、すかさず慧の腕が回る。
───逃がさない、というように。