蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
リビングに戻った絢乃は、携帯を開き、卓海からのメールを確認していた。
「・・・」
正直、卓海と会っても何を話せばよいのかわからない。
あの給湯室での態度や表情が気にはなるが・・・。
と、そこで絢乃は給湯室で落としたバレッタのことを思いだした。
───あのバレッタは2年前の誕生日に慧に貰ったものだ。
卓海が持っているのか、それとも総務課に遺失物として届けられているのかはわからないが、返してもらわねばならない。
まずは卓海に持っているか確認してみようか・・・。
絢乃は卓海のナンバーを表示し、通話ボタンを押した。
しばしの呼出音の後、卓海が出た。
『・・・絢乃か?』
「あの、加納さん。今日なんですけど・・・」
『13時に宮崎平だ。這ってでも来い』
「・・・」
やはり相変わらずの鬼っぷりだ。
しかしどうしても聞かねばならないことがある。
絢乃はぐっと携帯を握りしめ、早口で言った。