蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
4.二人の未来
───そして年が明け、2月。
二人の姿は、那須に向かう車の中にあった。
この一週間ほど晴天が続き、道路の雪もだいぶ解けている。
車はインターを降り、那須の市街地に向かって走っていく。
「・・・あ、お菓子の城だ。寄る?」
「ダメ。帰りに寄るから」
「え~・・・」
運転席の慧が悲痛な声を上げる。
絢乃はちょっと可哀そうと思いつつも、心を鬼にして言った。
お菓子の城は様々な菓子を作っているメーカーの直販店で、バウムクーヘンやチーズケーキなど、那須高原の牧場でとれた牛乳やチーズを使ったスイーツが多い。
絢乃も興味がないことはないが、慧がここに入ったが最後、恐らく一時間は出てこないだろう。
既に時刻は16:00を回っている。
日が暮れる前に祖母の家に着かねばならない。
やがて20分後。
車は祖母の家の前に到着した。
車を降りた二人の前に、祖母の初枝が姿を現す。
二人は初枝に挨拶をし、祖母の後に続いて家に入った。