蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
慧の腕が伸び、絢乃の頭をぐっと抱き寄せる。
絢乃はそっと目を閉じ、逞しい胸に額を押し付けた。
───きっと自分たちは、幸せになるだろう。
幼い頃からずっと、一番近くで見守ってくれた慧。
慧が寄せてくれる深い想いに、愛情に、心が熱くなる。
その優しい瞳も、少年のような笑顔も・・・
そしてたまに見せる、大人の強引さも・・・
全てが、愛おしい。
慧が自分の幸せのために尽くしてきてくれたように・・・
自分も、慧を幸せにしたい。
慧の腕が、絢乃の背を強く抱きしめる。
その力強い腕の感触に、絢乃はそっと目を伏せた。
[蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~ [完]]