蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
『・・・どうして・・・時世と、藤村さんが・・・? 』
『二人が結婚って・・・悪い夢だとしか思えない。藤村さんは、妹を私の代わりにするつもりなのかしら。時世は、それを知ってるのかしら』
『でももう、二人は籍を入れてしまった。慧の父親が彼だと言ったところで、時世を不幸にするだけだ・・・。それなら・・・』
慧はそこで、ぱたんと日記を閉じた。
───もう、これ以上読む必要はない。
慧は青ざめきった顔で、唇を震わせた。
───信じたくない。
慧は、自分の父親が誰なのか知らなかった。
物心ついた時には既に母は亡く、時世に聞いても初枝に聞いても、『知らない』としか返ってこなかった。
しかし・・・まさか・・・。
「・・・アヤ・・・」