蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「ねえ、慧兄。明日なんだけど・・・」
「明日?」
「バレンタインデー。手作りがいいか、それともこれまでみたいに二人で買いに行くのがいいか・・・」
「手作りがいい」
慧はさくっと即答した。
───全く迷いのないその回答。
絢乃は内心で驚きながら、頷いた。
「・・・わ、わかった。じゃあ明日、作るから。・・・他に、何か希望はある?」
絢乃は慧に聞いてみた。
・・・これまで、絢乃のために尽くしてくれた慧。
慧のために、自分もできることがあればしたい。
普段はあまり口に出せないが、こういう機会にできるだけ慧の望みを叶えたい。
慧は驚いたようにじーっと絢乃を見つめた後、口を開いた。