蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~



「ねえ、慧兄。明日なんだけど・・・」

「明日?」

「バレンタインデー。手作りがいいか、それともこれまでみたいに二人で買いに行くのがいいか・・・」

「手作りがいい」


慧はさくっと即答した。

───全く迷いのないその回答。

絢乃は内心で驚きながら、頷いた。


「・・・わ、わかった。じゃあ明日、作るから。・・・他に、何か希望はある?」


絢乃は慧に聞いてみた。

・・・これまで、絢乃のために尽くしてくれた慧。

慧のために、自分もできることがあればしたい。

普段はあまり口に出せないが、こういう機会にできるだけ慧の望みを叶えたい。

慧は驚いたようにじーっと絢乃を見つめた後、口を開いた。


< 170 / 200 >

この作品をシェア

pagetop