蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
絢乃の言葉を聞き、慧がほっとしたように目を和ませる。
・・・どうやら、さすがの慧も緊張していたらしい。
それにしても・・・。
那須で結婚のことは慧から聞いてはいたが、まさか一週間でプロポーズされるとは思ってもみなかった。
今年中に結婚と言っていたから、まだ先かな~とのんびり思っていたのだが・・・。
どうやら自分が思っていたより、コトは早く進みそうだ。
やがて慧がそっと椅子から立ち上がり、テーブルを回って絢乃の背後に立った。
ネックレスを箱から出し、絢乃の首にそっと掛ける。
ネックレスが肌に触れた瞬間、一瞬ひやりとしたが、すぐにネックレスは絢乃の肌になじみ、キャンドルの明りを反射しきらきらと輝く。
「・・・よく似合うよ」
「ありがとう、慧兄」
「婚約指輪は、今度一緒に見に行こう。どんなデザインがいいか、考えておいて?」
慧は背を屈め、後ろから絢乃の耳元に囁く。
・・・その、甘い囁き。
絢乃は頬を染めながら、肩に置かれた慧の手の熱をぼんやりと感じていた・・・。