蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




父は合掌した後、絢乃を振り返った。

絢乃の全身を眺め、少し笑う。

・・・その笑顔も、眼差しも・・・

慧の面影を思い出すのは、なぜなのだろう。


「お前と慧は一緒に住んでいると聞いたが。慧は元気か?」

「・・・うん・・・」


絢乃はくぐもった声で答えた。

ぐっと手を拳に握りしめ、父を見上げる。


「・・・ねえ、お父さん・・・」

「?」

「お父さんはどうして、昌美おばさんのお墓参りに来てるの? 秋にも・・・来てたんでしょ?」



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