蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
5.Truth of Trap
───15分後。
慧に連行されるようにマンションに戻った絢乃は、頭からバサッとバスタオルを被せられた。
雨で冷え切った絢乃の体を、慧が急いで拭いていく。
絢乃は俯いたまま、ぶるぶる震える自分の爪先を目を見開いて見つめていた。
・・・その様子は、明らかに普通ではない。
「・・・アヤ・・・」
慧は手を止め、タオルの下に隠れた絢乃の顔を覗き込む。
・・・その、ひどく心配そうな表情。
絢乃は慧の顔を見た瞬間、自分の涙腺が崩れるのを感じた。
と同時に膝から力が抜け、がくっと床に崩れ落ちる。
「アヤっ!?」
慧が慌てて跪き、絢乃の背を抱く。
絢乃は俯いたまま、無言で肩を震わせた。
・・・その、細く頼りなげな肩。
慧は眉を顰めて絢乃を見つめていたが、やがて絢乃の顎に指を伸ばし、そっと持ち上げた。