蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
───誰に許されなくても、構わない。
絢乃さえいれば、自分はどんな責め苦にでも耐えられる。
絢乃がいない天国より、絢乃がいる地獄の方がよほどいい。
絢乃が傍に居れば、例え針の山であっても自分は天国のように感じるだろう。
慧は絢乃の体の上にそっと布団をかけ、ベッドを揺らさないよう注意しながら立ち上がった。
そのまま机の方へと歩み寄り、机の上に置かれた小さな紙袋から、ビロードの箱を取り出す。
慧は箱を開け、その中に並んだ二本の指輪を取り出した。
・・・繊細な、銀の輝き。
一か月前に二人で選んだ、結婚指輪だ。
「・・・アヤ・・・」
慧は眠っている絢乃の左手を取り、薬指に指輪を通した。
指輪は月の光を反射し、絢乃の指で美しく輝いている。
慧は自らの指にも指輪を通し、指輪を嵌めた手で絢乃の左手をそっと取った。
この指輪に誓って・・・
─── 一生、絢乃を幸せにする。