蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




「・・・戻ってきたんだね、・・ヤ・・・」

「・・・え?」

「・・・いいよ、・・・が傍にいてくれれば・・・それだけで・・・」

「え? 何?」


良く聞こえない。

絢乃が訝しげに眉根を寄せると、慧は少し笑った。


「・・・そうだね、じゃあ朝と同じ、おかゆをもらっていいかな?」

「うん、わかった。ここに持ってきた方がいい?」

「ううん、だいぶ熱も下がって来たから。ダイニングに行くよ」

「じゃあ、できたら呼ぶね?」


絢乃はぱたんと慧の部屋のドアを閉じた。

確かに、朝に比べて顔の赤みは引いてきている。

このまま安静にしていれば、夕方までには熱が引くだろう。


───10分後。

絢乃は出来上がったおかゆを椀によそい、慧がいつも座っている席に置いた。

慧の部屋の扉を軽くノックし、声をかける。



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