蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




絢乃の言葉に、慧は驚いたように目を丸くした。


「誕生日? ・・・そっか、もうそんな季節なんだね~」

「何か欲しいものがあれば・・・」


と言いかけた絢乃に、慧がふっと視線を向けた。

底のない、深い闇を映したかのようなその視線。

・・・何かを心の底から切望するような、その視線。

いつもの明るさが全くないその視線に、絢乃は息を飲んだ。

しかし慧はすぐにそれを隠すように、にこりと笑う。


「・・・そうだね、考えておくよ。でも前回と同じ、ロールケーキとかでいいかな?」

「わかった。じゃあ何もなければロールケーキになるから、そのつもりで。何かあったら早めに言ってね?」

「うん。ありがとね、アヤ」



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