蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
「・・・」
絢乃は呆然とその紙を見つめた。
これまで、慧はどんなに忙しくても、家に帰ってこないということはなかった。
ましてやホテル住まいなど・・・。
それほどに忙しい仕事なのだろうか。
なぜか、胸に切ない痛みが広がっていく。
年明けから一人暮らしの準備を始めようと思ってはいたが、まさかこのタイミングで慧と離れて生活することになるとは思ってもみなかった。
しーんと静まり返ったリビングは、冬のせいもあってか、とても寒々しい。
けれど・・・
仕事なら、仕方がない。
絢乃はため息をつき、紙をそっとダイニングに置いた。