蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~



翌日。

絢乃は銀座の一角にある喫茶店で、卓海と向かい合っていた。


「・・・」

「・・・」

「・・・」

「・・・お前な。その辛気臭い顔、どうにかしろよ」


卓海は呆れたように言う。

絢乃は無言でコーヒーを飲んだ。

・・・はっきり言って、デートなどという気分ではまるでない。

卓海もそれを察したのだろう、お台場に向かいかけたデュアリスは途中で高速を降り、銀座に止まった。


「何があった、絢乃?」

「・・・加納さんには関係ないことです」

「だったらその通夜のような顔をやめろ! 見てるこっちまで暗くなる」



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