蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
<side.慧>
───ここに来てから、何日が経ったのか・・・。
慧は頭を押さえ、ゆっくりとベッドから起き上がった。
・・・眠れない。
睡眠不足で頭が朦朧とする。
窓の外には、東京の夜景が広がっている。
・・・慧の心とは裏腹な、明るく輝かしい光の海。
慧はカーテンを閉め、再びベッドに腰掛けた。
───朝起きるたびに、今日も絢乃に会えないと思い・・・
寝ようとするたびに、今日も会えなかったと思ってしまう。
離れても心は満ち足りず、切なさが慧の心を深く鋭く抉っていく。
絢乃と離れれば、絢乃のことを考えなくて済むかと思っていた。
絢乃の傍にいなければ、見たくないものを見なくて済む。
例え絢乃と卓海が仲良くなっても、それを知らなければ、自分は悩まずに済む。
ホテルに来た理由は、絢乃を傷つけたくないということの他に、そういう理由もあった。
けれど・・・。