蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
二章
1.牽制
慧がマンションを出てから一週間後。
───朝。
絢乃は通勤の電車に揺られながら、昨日の夜に届いたメールをじっと見つめていた。
昨日の朝、絢乃は慧に『いつ戻ってくるの?』とメールを入れた。
しかし、一向に返事はなく・・・
慧からメールが来たのは、その日の深夜だった。
時間を見ると、03:00。
絢乃は今朝まで、メールが返って来たことに気が付かなかった。
けれど、慧はいつも、夜の12時には就寝している。
夜中の三時まで起きているようなことは、めったにない。
・・・よほど、仕事が忙しいのだろうか・・・。
慧から返ってきたメールには、『まだ仕事が終わる目途が付きそうにないから、いつになるかはわからない』とある。