蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
───なぜか、視界が霞んでいく。
慧と角倉沙耶が結ばれればいいと、ずっと思っていた。
そうすれば慧も幸せになれるだろう、と・・・。
なのに、どうして今、こんなに辛く苦しいのか・・・。
突然のことで、混乱しているのかもしれない。
まさか、角倉沙耶がここに現れるとは思ってもみなかった。
慧は、本当に仕事でマンションを出たのだろうか・・・。
ひょっとして、マンションでは角倉沙耶に会えないから、ホテルに住むことにしたのではないだろうか。
だとしたら、どうして慧は自分に何も言わなかったのか。
自分が反対すると思ったのだろうか。
慧に隠された、ということが絢乃の心を痛め、傷を広げていく。
───慧に、確かめたい・・・。
けれど今日は、慧は夜まで帰ってこない。
しかもここには角倉沙耶がいる。
絢乃は目尻に浮かんだ涙をぬぐい、エレベーターのボタンを押した。