蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~




絢乃はその目に心が吸い寄せられるような気がした。

慧は軽く首を振り、固い声で言う。


「・・・アヤには、わからないよ。わかるはずがない」

「・・・っ、慧兄・・・」

「もう、ここには来ないこと。いいね、アヤ?」


───明確な拒絶。


慧は再び絢乃に背を向け、振り返ることなく歩いていく。

・・・その、冷たい背中。

絢乃は俯き、唇を強く噛みしめた・・・。



< 56 / 200 >

この作品をシェア

pagetop