蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
3.納得する答え
翌週の水曜。
絢乃は田町駅への道を歩きながら、辺りを見回した。
雨が降りそうな重い雲の下、店先に飾り付けられたクリスマスのイルミネーションが、色とりどりの光を放っている。
・・・クリスマスまで、あと2週間ほどだ。
慧はロールケーキでいいと言っていたが・・・きっと慧は、今年のクリスマスは角倉沙耶と過ごすのだろう。
たぶん、二週間後も、慧はマンションには戻ってこない・・・。
そんな気がする。
それは予感ではなく、既に確信に近い。
「・・・」
慧は明らかに自分を避けていた。
そして、角倉沙耶のことについても何も言わなかった。
・・・自分は、信頼されていないのだろうか。
そう思うと、胸に鋭い痛みが走る。
そして、角倉沙耶と慧が二人でいる姿を想像すると・・・なぜか、胸に黒いものが広がっていく。
慧を、兄を取られたことに対する嫉妬なのだろうか・・・。
この年になって兄弟を取られたことに嫉妬するなんて、子供っぽいと自分でも思う。
けれど、一度思ってしまうと止められない・・・。