蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
終わりの予感は、ひたひたと足音を立ててすぐ近くまで迫っている。
絢乃は自立を考え始め、それと時を同じくして二人の男が絢乃の前に現れた。
───モラトリアムの終わりは近い。
その予感が強くなればなるほど、心の奥底に抑え込んでいた想いが悲鳴を上げる。
絢乃を守りたい。
絢乃の家族でありたい。
絢乃の心の拠所でありたい。
・・・そう思う自分と・・・・
絢乃を絶対に離したくない。
絢乃に近付く男は全て排除してしまいたい。
絢乃を奪い、自分のものにしてしまいたい。
・・・そう切望する自分がいる。
何年も押さえつけていた想いが、今、かつてない激しさで心の中で荒れ狂う。
身勝手な欲望が、胸の奥から溢れ出る。
これまで二人で積み上げてきたものを、全て壊してしまうと、わかっていても・・・
・・・絢乃が、欲しい・・・。