蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
絢乃はぶんぶんと首を振った。
・・・もう、何をどういえば伝わるのかわからない。
慧は混乱する絢乃をじっと見つめた後、静かな声で言った。
「・・・お前はどうして、おれに戻ってほしいの?」
「・・・」
・・・どうして、なのか・・・。
絢乃は慧の言葉に、口をつぐんだ。
理由はわからない。けれど、慧に傍にいて欲しい。
・・・どうして、そう思うのか・・・。
慧はその美しい瞳で、絢乃をじっと見つめる。
───心の奥底を見透かそうとするような、その真剣な瞳。
何かを切望するような、その瞳・・・。
しかしやがて、慧は諦めたようにふっと絢乃から視線を逸らした。
「おれはもう、戻らないよ。・・・もう、飽きたんだ」
「・・・え?」