蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
慧の口から出た言葉に、絢乃は息を飲んだ。
・・・一瞬、何と言われたのかわからなかった。
慧はそんな絢乃をじっと見据え、はっきりとした口調で言う。
「お前のお守りをすることに、もう飽きたんだ。・・・それが、おれがあのマンションを出た本当の理由だよ」
「・・・っ!」
その言葉を聞いた瞬間。
絢乃は、目の前が真っ暗になるのを感じた。
───飽きた。
予想もしない言葉に、絢乃の心は一瞬で砕け散った。
・・・そんな・・・。
手が、ぶるぶると震えだす。
口元が、わなわなと戦慄く。
何か言おうとしても、頭が真っ白で何も考えられない。