蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei ~
絢乃に放った言葉は、慧自身の心も深く切り裂いていく。
胸に、耐えられない痛みが広がっていく。
これまで、泣いている絢乃を慰めるのは慧の役目だった。
けれどこれから、その役目は別の男が担うのだろう。
卓海なのか、それとも別の男なのか・・・
想像しただけで、黒い激情が胸に広がっていく。
けれど・・・
自分にはもう、絢乃を慰める資格はない。
絢乃を傷つけ・・・自分から、絢乃の手を手放してしまったのだ。
あれほど大事にしてきた、かけがえのない存在を・・・。
「・・・ごめん、アヤ・・・」
囁きはもう、届かない。
築き上げてきた二人の関係が音もなく崩れていくのを、慧は心の中で感じていた・・・。